2006年11月28日

「苦集滅」道

仏陀(ブッタ)は、人間の本質的な生き方・あり方として、苦・集・滅・道という四つの原理(四諦)を説きました。

「苦」とは、人生とは生老病死という苦である、という意味。
「集」とは、生老病死を苦と感じる原因は、ものにこだわるからである、欲望が尽きないからだ、という意味。
「滅」とは、苦の原因を滅した状態。一切のこだわりを消滅させた悟りの境地。
「道」とは、苦の原因を滅するための方法。正しい生活、修行のこと。

宗教史・思想史研究家の山折哲雄氏は、著書の中で、
――おもしろいのは、正しい生活を送れという勧告が、最後に来ていることだ。――
と述べています。

つまり、仏陀がもし「正しい生活を送ることによって、悟りの境地に達しなさい。」と言いたかったのならば、文字を 道→滅 の順に並べるはずなのに、実際には 滅→道 と並んでいる。
その理由は、仏陀は、聖者になることが人生の目的であってはならない、聖者をめざす簡素にして誠実な生き方をする過程のほうが、はるかに重要であると言いたかったからだ、と山折氏は言います。

私はこれを読んで、なるほど、納得してしまいました。

人間はもともと神の分身ですから、誰もが本質的にもともと聖者なのです。
しかし、神の計画した深遠な理由があって、神は己を分割し、そのそれぞれに自分が神であることをあえて忘れさせ、あえて肉体という不自由なものを纏わせることによって、苦・集の体験の旅に出したのです。
その苦・集を体験する旅人が、私たち人間であるわけです。
したがって、もし人間が、この世に生まれた途端に「滅」を達成し、聖者や超人になってしまったとしたならば、神が人間を創造した意義がそもそも失われてしまうわけです。

「苦」「集」はいけないことだから、一日も早く「道」を究めて、「滅」に至りなさい、とは仏陀は決して言っておりません。
むしろ、「苦」「集」は良いことだから、そのプロセスを十分に味わった上で、「滅」に至りなさいと言っているといっても過言ではないと思います。
苦・集・滅・道とは、「苦・集・滅」というプロセスを経験する人生の道、すなわち「苦集滅」道、なのです。

苦しみの体験が多いほど、それらを滅して悟りの境地を達成したときの喜びが、より大きいのです。
生老病死の苦しみは、神様が私たちの魂を成長させるために創造した、神様から私たちへのプレゼントだったのです。
私たちは、ひとつひとつ課題を克服していく中で、人生の喜びと幸せを見出すのです。
本当に幸せになりたければ、苦労から逃げることなかれ。ということです。

では、人が完全なる「滅」の域に到達して、人生の課題が何一つ無くなり、真の聖人になってしまったとしたら、その後どうなるのでしょうか。
これは私の個人的見解ですが、この世に生きている人間の中に、真に悟りの境地に達したままで何日も生きている人というのは、おそらくいないのではないかと思います。
人間として生きている目的を失ったまま、いつまでもこの世に存在しているはずはないと思うのです。
そういう意味で、宇宙には、地球人よりもはるかに精神文明の発達した人が住んでいる星があるそうですが、そこで生活している人たちでさえ、真に悟りの境地に達している人はいないと思います。
もちろん私たちが抱える悩み事の内容と比べれば、その質が全然違うと思いますが、彼らも日々、様々なことで苦悩し、ひとつひとつ課題を克服しながら、新しい喜びを発見しているに違いありません。

以下の記事は、この「苦集滅」道 をより深く研究するための参考になるのではないかと思います。

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posted by Y.Takahiro at 18:24 | 東京 🌁 | Comment(3) | TrackBack(0) | 『宇宙』の章
この記事へのコメント
はじめまして。
読ませていただいて、目から鱗です。
霊能者の江原啓幸さんが、本当は霊能力なんか無いほうがいい、と言っていたことを思い出しました。
決してお釈迦様やキリスト様が偉いわけではない。
本当は、聖人になることを目指すことよりも、この世の中を受け入れて、まじめに生きることの方が尊いことなのですよね。
Posted by まこと at 2006年11月28日 23:46
 拝読いたしまして思い出しましたのは、極めて理にかなった思考法を編み出されておられたということです。
 ことわりに無理もない、その過程こそが"人生は遍路"との感慨とも繋がるのでしょうか。
Posted by 「脳燐人」 at 2006年11月30日 09:07
「人間はもともと神の分身」?
人間の自惚れですって!
地球上の他の生物からは「生まれ変わっても、人間だけにはなりたくない!」って言われてるかもよ!?
人間って所詮地球上の1生物ですよねぇ〜
Posted by たそがれの旋盤師 at 2007年03月29日 21:25
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